目次
【1】「小1の壁」とは?退職に追い込まれることも!?
学童保育の時間が短い!
次の「小1の壁」は、学童保育の預かり時間の短さです。
公的な学童保育は、保育時間が延長されても午後7時まで、というところがほとんどです。保育園時間は延長保育で何とかできたものも、学童の場合は一律午後7時になれば帰宅することになります。
ママパパの仕事が遅くなる場合、子どもが1人で家で過ごす時間が長くなってしまい、親子ともに不安が大きくなってしまうのです。
突然の時間変更や教材提供など
なるべく保護者の負担にならないよう、調整されていた保育園時代と違い、小学校からは保護者の協力を求められることが多くあります。
例えば、突然「明日までに工作用の教材として、トイレットペーパーの芯を3個お願いします」とか、「自分の住む街を調べるので付き添いをお願いします」というお知らせの類。
また、1ヶ月の予定などもその月の頭にならないと分からなかったり、お弁当が必要な行事が突然発表されて出張とバッティング、なんてことも十分、ありうることなのです。
こうしたことも、ママパパたちの頭を悩ませる「小1の壁」の一つです。さまざまな要因が重なってしまい、主にママたちが退職に追い込まれてしまうことも少なくありません。
しかし、こうした事態も数年の話。子どもが高学年になると、学童ではなく塾通いにシフトしたり、1人でも大丈夫な年齢になり、退職したことを後悔する人たちも少なくないといわれています。
【2】学童保育とは
こども家庭庁管轄の保育事業

学童保育は、学校が終わった後、親が仕事などで不在の児童のために、安全に遊んだり、勉強したりする場を提供するものです。
正式名称は「放課後児童健全育成事業」で、管轄はこども家庭庁となっています。学校から直接、学童保育が置かれている施設に通い、職員が子どもたちの面倒をみます。
設置している自治体によって、自治体が直接運営している場合と民間業者に業務委託している場合があります。
対象年齢も自治体によって異なり、主に低学年を対象にしている場合と小学校6年生まで対象になっている自治体もあります。
手厚いサポートが受けられる民間学童も
最近では、企業やNPO法人などが運営する民間学童保育も数を増やしています。学校まで送迎の車が迎えに来て、帰りも自宅まで送ってくれる、学習フォローをしてくれる、習い事への送迎、夕食・お風呂の対応、深夜に及ぶ延長など、そのサービスはさまざま。もちろん、利用料は高額になりますが、そこまでしてくれるなら…と思う保護者も多く、こちらも順番待ちになるほど人気の場所もあります。
学童保育はいつ利用できるの?
学童保育を利用できるのは放課後のイメージが大きいのですが、実は土曜日や夏休み、春休み、冬休みといった学校休業日にも利用することができます。
所属するクラスが学級閉鎖になった場合や台風での休校などの場合も、施設によっては預かってもらえることがあり、働くママパパにとっては大事な場所となっています。
ただし、このような臨時休校時の対応は設置している自治体や施設によって異なります。実際に預けることになる学童保育に足を運んだり、自治体の担当者に尋ねてみる、また実際に預けている保護者の方への質問する、など情報収集をしっかりしておきましょう。
学童保育の問題とは?
学童保育をめぐる問題もさまざまなものがあります。まず、先に述べたように入れない児童が多数いることです。
こども家庭庁の基準では1クラス原則40人までと決められ、同時に年間250日以上、平日は3時間以上開設する、という基準も設けられました。
基準ができたことで、狭い場所に多数の児童がギュウギュウに押し込められている、というような状況は減りましたが、一方で、児童の指導に当たる放課後児童支援員の確保が急務になっています。
支援員の数は年々増えていますが、支援員に対する待遇が十分でないとも言われており、人材の確保や指導の質の向上のために、支援員への待遇の改善が求められています。
また、学童保育が必要な状況でありながら、学童保育になじめない子どもの存在などもクローズアップされています。学童保育にせっかく入れたものの、子どもがなじめず、親がやむなく退職するといった問題も起きているようです。
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【3】「小1の壁」その実情とは?
小1の壁体験談~学童保育編~
学童保育に入れたはいいけれど、さまざまな壁にぶつかる小学校1年生のママパパ。実際に、学童保育にお子さんを入れているママパパの感想を集めてみました。




なかなか、うまくいかないことも多くありそうです。
一方、


と、満足されている方も。
お子さんに合った学童を見つければ、少し、小1の壁も薄くなるかもしれませんね。
小1の壁体験談~PTA活動編~
平日のPTA活動はママたちの悩みどころ。さまざまな「壁」があるようです。



働くママがこんなに増えてきたというのに、未だに小学校のPTA活動は、平日の昼間前提のものが多いですよね。
最近は、ママたちの参加回数を少なくしたり、パパたちも多く参加するなど、少しずつ変わってきている風潮ではありますが、まだまだ、やりにくい部分は多いようです。
小1の壁体験談~小学校から突然お知らせ編~
小学校からのお知らせは、猶予がないものも多く、働くママたちを焦らせることも。



お知らせをもらっていても、子どもが出してくるのが遅かったり、ということも。もっと早く言ってくれれば対応できたのに、ということ、本当に多いですよね。
【4】小1の壁を乗り越えるための対策とは?
学童保育は情報収集が命!
「壁」の存在がある以上、乗り越えるための方策をいろいろ考えなくてはなりません。まず、学童保育の「壁」ですが、実は、入れるか入れないかは自治体によります。
待機児童が多そう、というイメージの世田谷区ですが、実は学童の待機児童がゼロという報告があります。
最近では、親の就労の有無にかかわらず、子どもが放課後健全に遊べる場所、ということで学校の空き教室を活用した事業などが行われています。申し込みさえすれば、誰でもそこを利用することができる自治体も増えているのです。
そして、こうした事業の中にも就労証明書を出すと、夜7時まで預かってくれる、という制度を持っているところもあります。
まずは、お住まいの自治体に尋ねてみて、自分が活用できる制度がないか、調べてみるようにしましょう。
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小学校のPTA活動はママ友ネットワークを活用

小学校のPTAの「壁」への対策は、とにかくママ友を作り、コミュニケーションを密にすることです。
「ママ友作り」なんていうとめんどくさそうですが、学校生活を一緒に乗り切っていく戦友、みたいなものですからいるに越したことはありません。
例えば「PTA会合」一つ取っても、この日は自分が出られないが、ママともの誰かが出られる、ということであれば代わってもらうことができます。もちろん、自分もできることは、惜しまず助けの手を差し伸べるようにしましょう。
そして、きっぱりと「私は、この条件ならできます」と明確にしておくことも大事です。「ちょっとー、わからないんでー」という感じに全てを避けていくと、反感を買ってしまうこともあります。
しかし、「この日やこの時間はダメですがここならできます」と態度を明確にしておけば、意外と上手に予定を避けてもらったり、休むこともできたりします。
こうした人間関係は、災害や自分の病気・ケガなど突発的な出来事のときにも助け合える関係につながります。保育園・幼稚園などの出身にこだわらず、積極的にやってみてください。
突然のお知らせ対策は先生とのコミュニケーションを

学校からの突然のお知らせ対策は、こまめにチェック、くらいしかできることがない、と思ってしまいますよね。
フルタイムで働き、部下も抱えるママさんは「先生とのコミュニケーション」で乗り切っていると教えてくれました。

確かに、子どもの詳しい状況を学校行事などで見られない場合も、先生とのコミュニケーションを取っておけば安心ですし、先生と話をすることができれば、自分の勤務状況なども分かってもらうこともできますよね。
例えば、突発的な状況に対応しきれないとしても、子どもに対する先生の対応は違ってくるでしょう。先生にもよるのですが、コミュニケーションは大事そうです。
また、この部分は子どもにしっかりお願いしておくことも大事です。工作の道具が必要であれば、普段から早めに親に伝えるように言っておく、何なら自分で工作用にさまざまなものをキープしておくように言ってもいいのです。
子どもの学年が少し上のママさんたちと知り合いになるのも良い方法です。年度によって異なることもあるのですが、子どもたちのカリキュラムは似たものになることも多いです。
先輩ママたちに、この時期はこれがあるよ、と教えてもらえば、早めに先生に「こうした行事があるようですが、今年はいつの予定ですか?」と尋ねることもできます。
【5】「小4の壁」とは?
子どもを取り巻く環境の変化と精神的な成長
小学校3年生で学童保育が無くなることから、「小4の壁」という言葉もあります。
今まで学童に安心してお任せできたのに、4年になったとたん、鍵を渡してひとりの時間が増えてしまうといったものです。
また、別の意味の小4の壁もあります。中学受験の勉強で塾通いを始めるのがこの年代くらいからが多く、中学受験の半分は親がする、という人もいるくらい、子どもの勉強を見てやらなければならなくなるからです。
受験をしない子どもでも、精神的に大人への一歩を踏み出す年齢となることから、言うことを聞かなくなったり、「ギャングエイジ」を呼ばれることも。こうしたことからさまざまな意味で「小4の壁」という言葉が使われるようになっているようです。
仕事をしながら子どもとどう向き合うか
「小4の壁」は、「小1の壁」とはタイプが違います。
「小1の壁」は、制度の改善で対応できるものが多いのですが、「小4の壁」は親が子どもとどう向き合うか、ということと直結しています。
たとえば、ひとりで家にいる時間が長くなると心配、という問題は、実は平成27年度から学童保育の基準が小学校6年生まで延ばされたことで、解消できる方向に進みます。
しかし、では、預かってくれる場所があるから、いつまでもそこで預けておけば良いのか、という問題も出てきます。親は心配ですが、子どもは毎日大きくなっていきますから、ひとりで留守番できる日も来ます。
小学校4年生からは、算数など学校の授業もどんどん難しくなっていきます。そうしたことへの対応は、預かってくれるところがあるかないか、とは性質が違ってきます。
この「小4の壁」は、親が自分の仕事をしながら、子どもとどう向き合っていくか、を改めて考える時期が来ているというお知らせでもあるのです。
まとめ
「小1の壁」いかがでしたか? 待機児童の問題から解放されたと思ったら、すぐにやってくる難題の数々。会社からは、小学生になったんだから、と視線が厳しくなり、子どもはすぐに大きくなるわけでもない。つらい状況ですよね。
しかし、状況は年々確実に良くなっています。学童保育の数も増えていますし、その種類も増えてきています。
子どもの数年は確かに大事な人格形成の時期ですが、子どもはどんどん大きくなっていきます。できることも増えていきますから、その時に応じた対応を家族でよく話し合いながら、上手に進めていきたいものですね。
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